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コラム

乳がんについて

 有名タレントがテレビ番組の収録で乳がんを発見したり、乳がんであることを告白して芸能活動を続けているタレントがいたりと、女性だけでなく男性も身近に感じているのが乳がんではないでしょうか。乳がんを知ってもらおうという、ピンクリボン運動もだんだん浸透してきているようです。
 しかし、まだまだ乳がんにどの程度の人がかかっているのか、その治療法にどんなものがあるのかなど、知られていないことがたくさんあるのも事実です。

<まず、どれほどの人が乳がんにかかっているのでしょうか。>
 わが国で新しく乳がんと診断される人は年間4万人を超え、乳がんは女性では大腸がんと並んで最も多いがんです。日本人女性の20人に1人が乳がんになるとも言われ、女性の壮年層(30~64歳)のがん死亡原因のトップになっています。乳がんにかかる人は30代から40代にかけて急増し、そのピークは40代後半です。
 乳がん発症には女性ホルモンのバランスが大きく関係していると考えられています。出産経験のない人、30歳を過ぎてから初産を経験した人、初潮が早くて閉経が遅い人、脂肪摂取量の多い人、肥満傾向の人、あるいは親や姉妹など近親者が乳がんになった人などに発症が多く見られます。 その背景には、食生活の欧米化にともなう肥満の増加、女性のライフスタイルの変化があるとも考えられています。また、閉経後は大丈夫、出産・授乳経験があるから大丈夫、ともいえません。現代の女性は、乳がんのリスクが高いことを自覚する必要がありそうです。

<乳がんとはどのようなことをいうのでしょうか。>
 女性の乳房には、乳腺が乳頭を中心に放射状に15~20個並んでおり、それぞれの乳腺は小葉(しょうよう)に分かれ、小葉は乳管という管でつながっています。乳がんとは、この乳腺に発生する悪性腫瘍です。
 乳がんには小葉や乳管の外には拡がらず乳房内に留まっているタイプもありますが、症例の多くは、乳腺の外に広がっていくタイプです。
 乳がんは、リンパや血液の流れに乗って全身に広がる可能性のある「全身病」です。つまり、手術で乳房内のがんを完全に取り除いたと思っても、その時点で、すでに目に見えないほど小さながん細胞が全身に広がっている可能性があるのです。

<乳がんにかかった場合、どのような治療を行うのでしょうか。>
 乳がんの治療には、外科手術、放射線療法、薬物療法があります。
 外科手術はもっとも基本的な治療です。乳房にできたがんを切除するために行います。切除する範囲は乳房内でのがんの広がりによって決められます。乳房を全部摘出するか温存するか、判断されます。
 乳房を温存させる手術では乳房に小さながん細胞が残ってしまう可能性があるので、放射線照射でがん細胞の増殖を抑えて死滅させます。放射線治療は放射線照射を行った部分にだけ効果を発揮します。
 薬物療法については、前述のように、乳がん発症には女性ホルモンのバランスが大きく関係していることから、その働きを抑えるためのホルモン療法、抗がん剤を用いてがん細胞の増殖を抑えて死滅させるための化学療法などがあります。
 放射線療法、薬物療法については、その使用範囲や個人差はあるものの、少なからず副作用が生じる可能性が高いです。

<では、乳がんにならないためにはどうすればよいのでしょうか。>
 残念ながら乳がんの予防法はありません。しかし、早期に発見して適切な治療を受ければ9割以上は治ります。しかし、発見が遅れたり治療を受けずにいると、がんは周囲の組織に広がり、他の臓器に転移して、命が脅かされることになります。このような事態をできる限り防ぐためには、早期発見が重要です。乳がんを早期のうちに発見して、できるだけ早く治療を開始しなければなりません。
 また、自分でしこりなどの異常に気づいた「自己発見」は非常に多く、月に1回のセルフチェックを行うことがとても有効であるといわれています。
 乳がんの早期発見のためには自己検診を行うことも重要ですが、定期的に受ける検診を受けることも同じく重要になります。乳がんの検診には、問診、視触診、マンモグラフィ検査、超音波検査があります。従来は視触診が中心でしたが、今ではマンモグラフィを導入した検診が普及しています。自分の乳房の状態を知っておくためにも、検診を受けましょう。
 30代の若い年代では、まだ乳腺に厚みがあるため超音波検査を優先させた方がよいでしょう。乳がん発症のピークの40代は「乳がん適齢期」を自覚し、年1回のマンモグラフィと超音波検査はぜひ行ったほうがよいでしょう。40代と同じく乳がん発症率の高いのが50代です。更年期世代で女性ホルモンの変動があるため、乳腺の状態も変わりやすい時期です。1年に1回のマンモグラフィと、できれば超音波の併用検診を行ったほうがよいでしょう。閉経しても乳がんにかかる可能性はあります。60代からは、乳腺が萎縮し脂肪に変わるため、乳房の状態はマンモグラフィで見えやすくなります。2年に1回、マンモグラフィ検査を行いましょう。70代からは乳がんのリスクも低くなります。
 年に1回の乳がん検診を自分の年代などにあわせて賢く選択することで、乳がんを早期発見することができるのです。

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